無題ドキュメント

「ご飯の時はテレビを見ない」という決まりがうちにはあります。地震や大きな台風が来ている時とかでない限りめったにその決まりが破られることはありません。小さい時は、友達のようにテレビをつけてご飯を食べたいと思ったこともありましたが、我が家の決まりは変わりそうもなかったので、いつの日かあきらめていました。朝ご飯の時は、ニュースを聞くためにラジオがついています。毎朝、ニュースを聞きながら家族がそれぞれに意見を言うので我が家は朝から小さな討論会のようです。私も弟も口だけはいっちょまえなのでなかなか話がはずみます。お母さんも物価高のニュースには敏感に反応して実感のこもった話をします。でも、政治のニュースになると、お父さん以外は無言になってしまうのです。お父さんが解説をいれながらアナウンサーの話を通訳してくれるので社会科の授業が死ぬほど苦手な私でも理解することができます。そんなことをしながら朝ご飯の時間があっという間に終わるのです。
昼はそれぞれ学校や職場で食べるので、次にみんなが揃うのは夜です。朝と違うのは、ラジオがついていない事とお父さんがたまに帰っていない事です。夜ご飯の時は、私と弟の学校での話が中心で、部活の事、友達の事、先生の事などを話しています。私も弟も特に隠し事はせずに何でも話題にしていると思います。食べ終わってもそのままテーブルで話を続けていることが多く、一緒に悩んだり、笑ったり、怒ったりして夜ご飯が終わります。
　何気なく過ごしている毎日の中で、「ご飯の時間」を気にする人はほとんどいないと思います。でも、よく考えると、うちの「ご飯の時間」は家族にとって「大事な時間」になっていることに改めて気付きました。家族そろってテーブルを囲んで、みんなでワイワイ言いながらご飯を食べる時間は今の私にとって一番の宝物です。